医学部の学生の質の低下が言われて久しいが、(参考記事↓)
医学部の86%が「学生の学力低下」と認識 医学部長病院長会議調査
実は、音楽大学にも同じ現象が起こっており、芸大の名門校(東京術大、国立、東音、桐朋、愛知県芸)を除くほとんどの音楽大学でレベルが著しく低下しているようだ。武蔵野音大でもレベルがかなり落ちているようだ。
私が子供の頃は、名門校以外の大学でも、特にピアノ科の入試は結構難しかったことを記憶しているが、昨今は子供数の減少で、音大も定員割れを起こしているのか、ピアノが下手な生徒でも入れる音大が非常に増えたとのこと。ピアノを教える側としては、これは非常に嘆かわしいことである。
しかし、子供数の減少が一因と言われるものの、それよりももっと重要な原因があるのではないか。
・昔と違って、厳しいピアノの先生が非常に少なくなった。
・ピアノは本来、毎日練習しないといけないのに、近ごろでは、練習しないで上達するようなマニュアル本が出たり、そのように教えるピアノ教師が増えてしまった。
・親御さんが毎日練習するようにちゃんと躾をしていない。練習の重要さを分かっていない。
・忍耐力のある子供が減ってしまった。
と、挙げればキリがないが、ピアノの先生の責任も大きいと思う。ピアノの先生が果たしてどれだけ真剣に、日本の生徒さんの音楽レベル、ピアノレベルを上げたいと考えているだろうか?真剣になればなるほど、レッスンはやはり厳しいものにならざるを得ないのではなかろうか?
趣味でやっているから、とそこまで厳しくする必要はないと考える人も存在すると思うが、子供の可能性は分からないのだ。最初は趣味のつもりでやっていても、将来、音楽の方へ行きたいと考える子供もいるので、どんな子供でも可能性が広げられるように、趣味であろうがなかろうが、どの生徒さんにも同じように指導する必要があると考える。
また、ピアノは芸事でもある。たとえ趣味であれ、長期間に渡る日々の地道な練習は必要なのだ。先生側が手を抜いていい加減に教えれば、また、生徒さんも練習もそこそこしかやらないのであれば、結局はまともにはピアノは弾けないのである。
今では、その優しいピアノの先生に教えてもらった人が生徒さんを教えている世代も増えているわけだから、これではなかなか日本の音楽レベルの底上げにはならない。ピアノ教師として、何をするべきか、日々のレッスンのあり方、生徒さんや親御さんへの接し方など、真剣に向き合わなくてはいけないのではないかと感じている。