ピアノの上達は譜読み力に比例する

子供の生徒さんを色々教えていると、簡単な旋律でも指が思うように動かない子がいる。手先が不器用だから、と思う人もいると思うが、私が思うに、音符がきちんと早く読めていないために、脳が働かず、結果、運動神経まで上手く働いていないケースがほとんどなのだ。

 

そのようなお子さんの場合、音符を1つ1つ読ませても、瞬時に判断して回答できない。手が正しい動きをするには、まず脳が正しく判別する能力が必要だ。従って、音符読みがたどたどしいと、弾き方もたどたどしくなるのは必然である。国語を勉強する時、子供達はひらがなや漢字、カタカナをまず書いてから覚えるが、それをやらないと、本をスラスラ読むことができない。本をスラスラ読めなければ、本に書かかれている内容を理解するところまではいかない。音楽教育も読み書き(そして聴く)ことを徹底的にさせることが大事なのだが、前のお教室でその根本的な指導をしっかり受けずに当教室へ来られる生徒さんが、残念ながら過去にも何人か見てきている。

 

ピアノは指で音が簡単に鳴らせるので、一見、単純な動作に見えるのだが、実は脳の中では多くの事が一瞬のうちに処理されているいる。楽譜を見る→音を判別する→判別した音を指に命令する→出した音を聴く、と同時に次の音を判別する。この繰り返しで、実はもっと多くの情報が脳と神経回路の中でやりとりをしている。この流れがスムーズでないと、ピアノはなかなか上達しない。特に、楽譜から音を瞬時に判別する能力は、習い始めの段階できちんと身につけないと、ずっと譜読みで苦労することになってしまう。

 

譜読みが苦手な方にまずお勧めしているのが、音符を書いてみること。音楽ドリルなどを利用して、できるだけ早く正確に課題に取り組むことだ。それから、簡単な曲を沢山仕上げること。あとは初見の練習だ。初見の練習に関しては、講師の指導を受けた方が良い。譜面を早く読むコツなどを色々教えてくれるので、自己流であまりやらない方がよいだろう。

2011年06月21日