国立情報学研究所の調査によると、2021年のピアノ経験者の割合は53.8%で、なんと日本の半数以上の人がピアノを習ったことがあるということになる。1998年は41.5%で、それと比べると10%以上も上昇している。これは、ピアノ学習に関する研究も進んでいるお蔭なのか、様々な論文や書籍が出され、ピアノを習うメリットが広く知られるようになり、それがピアノ学習者の増加をもたらしているだろうと思われます。
ピアノは楽器の中で習得するのが最も難しい楽器ですが、難しい楽器だけに、ピアノを学ぶことによって、子供だけでなく大人や高齢者に方々にも多くのメリットをもたらすことが分かっています。ピアノを通じた音楽教育の長期的なメリットと影響について、ピアノ演奏がもたらす認知的、感情的、社会的な側面に焦点を当て、なぜピアノは一生涯にわたって豊かな人生を築くための貴重なツールとなるのかの理由をこで述べます。
1.認知的なメリット:
音楽理論やリズムの理解:
ピアノの演奏には音楽理論やリズムの理解が不可欠です。これにより、脳は抽象的な概念や数学的な関係を処理する能力が向上し、論理思考や問題解決能力が発展します。 集中力と記憶力の向上: ピアノ演奏は、楽譜を読みながら非常に複雑な手の動きを同時に行うため、集中力と記憶力が向上し、学習全般においても効果が現れ、認知症予防にもなると言われています。
2.感情的なメリット:
表現力と創造性の発展:
ピアノ演奏は自己表現の重要な手段であり、感情を音楽を通じて表現することができます。音楽の表現力を磨くことで、感情の認識や表現力が高まり、創造的思考も促進されます。
ストレスの軽減とリラックス:
音楽はストレスを軽減し、リラックスさせる効果があります。ピアノ演奏はリラックスの状態を作り出し、心身の健康にプラスの影響を与えます。アメリカやヨーロッパなどで音楽療法が盛んなのは、このようなメリットがあるからなのですが、自分自身で演奏することによって、その効果は更に高まるそうです。
3.社会的なメリット:
共感と協調性の養成:
アンサンブルや合奏活動を通じて、他の音楽家と協力し、音楽的なコミュニケーションを築くことができます。ピアノを通じた共同演奏は、他のメンバーとの共感を深め、協調性やチームワークを発展させます。ピアノは一人だけで弾く楽器と思われがちですが、連弾や、バイオリンやビオラなどの様々な楽器と共演できることが魅力的ですね。
公演や発表の機会:
ピアノの練習は、公演や発表の機会を提供します。これにより、自己表現や自信を高めるだけでなく、オーディエンスとのつながりを感じることができます。公の場で演奏する経験は、プレゼンテーションやパフォーマンス能力の向上にも役立ちます。私もピアノをやっていたお蔭で、アメリカの大学院や仕事上でのプレゼンテーションには全く物怖じしなくなりました。
音楽コミュニティへの参加:
ピアノを学ぶことは、地域の音楽コミュニティに参加する機会を提供します。音楽学校や団体のコンサートやイベントに参加することで、他の音楽愛好家と交流し、音楽を通じたつながりを築くことができます。これにより、社会的なつながりや友情が深まります。私もピアノをやっていたお蔭で、アメリカ滞在中はシニアホームや地域の教会でピアノ演奏を頼まれ、それを通じて人々との交流や知り合いができました。
文化的な理解と教養の向上:
ピアノ演奏は、様々な音楽のジャンルや作曲家の作品に触れる機会を提供します。音楽の歴史や背景を学ぶことで、文化的な理解と教養が深まります。また、異なる文化や背景を持つ人々との交流を通じて、共通の言語としての音楽を通じたコミュニケーションが可能となります。私もアメリカでピアノを弾いた時、周りの人たちが非常に喜んでくれて、音楽には国境がないのだ、ということを肌で実感した経験があります。また、音楽はキリスト教と深いかかわりがあるため、それを通して世界の歴史をより深く学ぶこともでき、世界情勢を知るきっかけになるだけでなく、それを通して音楽をより深く理解することができるようになります。
このように、ピアノには認知的、感情的、社会的な側面で多くのメリットと影響をもたらしてくれるので、老若男女問わず、生涯の中で是非一度は習っておくといいと思います!ピアノを学ぶことは、一生涯にわたって豊かな人生を築くための貴重なツールとなり、音楽の力を通じて個人の成長や社会的なつながりを促進してくれます。 特に趣味がなくて、何かやりたいけれども何をやったらいいのか分からない方は、とりあえずピアノを始めてみてはいかがでしょうか?